波多野くんからもらったキラカードを
 胸に当て、
 今、私は、廊下を走っている。


 しーちゃんの教室を覗く。

 ぐるっと見回しても
 しーちゃんはいない。



 今まで二人でお弁当を食べていた
 階段についた時。

 寂しそうに肩を落とすしーちゃんと
 目が合った。



 慌てたように
 その場に立ち上がった、しーちゃん。



 待って。待って。
 お願い。逃げないで。



「しーちゃんに……
 話したいことが……あるの……」



 私の声を聞き、
 スカートを握りしめ立ち尽くすしーちゃんが、
 消えそうなほどか細い声を出した。



「私……別れたの……」



 え?



「私……フラれたの……
 慶ちゃんに……」