波多野くんは やっと私の手を解放してくれた。 これで 波多野くんから逃げられる!! そう思って、安心したのに…… 椅子に座ったまま くるりと回転した波多野くんの 私をまっすぐ見上げる瞳から、 逃れられなくなってしまった。 目を逸らさなきゃ。 そう思うのに 魔法にかかったように動けない。 波多野くんの真剣な瞳が 優しく光りだして。 波多野くんは、穏やかに笑った。 「美羽、もう気づいてるよな?」 え? 「俺、お前のこと。 好きだからな」