僕だけにナデナデさせて アミュ恋 3曲目


「波多野くん、大丈夫?
 気分悪い?」



 全く反応がない。

 石みたいに固まったまま
 動かない。



 私は椅子から立ち上がり、
 波多野くんの後ろに立って
 優しく背中をなでなで。



「波多野くん、ごめんね。
 私なんかと、一緒にいたから
 気持ち悪くなっちゃったんだよね?
 保健室、行こう」



「違う……から……」



「え?」



「美羽、
 両手……貸して……」



 私に背を向けて
 背もたれのない椅子に座る波多野くんが、
 体の横で両手を広げている。



 さすがに
 波多野くんの手に触れる勇気なんて無くて。

 私は自分の手を
 波多野くんの手のひらの
 近くまで持って行った。




 その時、
 私の手首が
 波多野くんの手のひらに包まれた。



 そのまま強い力で引っ張られ
 抵抗することもできない。



 私の両手は拘束されたまま
 波多野くんの胸の前で
 交差された状態。

 いつのまにか
 私の胸が、波多野くんの背中に
 ぴったりとくっついている。