「マジで春はカッコいいからな。
 自分を犠牲にして、
 相手を思いやる所とか。
 ウサギがなりたかったヒーロー、
 そのまんまじゃん」



 『みゅうみゅうがなりたかったヒーロー』
  かぁ。



 なんでマー君は、
 僕が一番言って欲しいかった言葉を
 届けてくれるのかな?


 なんで僕の恋を。
 力強く、後押ししてくれるのかな?



 マー君自信、
 絶対に叶わない恋に苦しんで。

 耐えきれないほどの痛みを
 抱え込んでいるはずなのに。




「マー君、ありがとね」



「言いたいことを言いまくっただけで。
 感謝されることをした覚え、ねえけど」



 マー君が照れている。

 赤みを帯びてきた頬を隠しながら。
 恥ずかしそうに。



 威勢のいい番犬の時と、
 照れを隠そうとしている時のギャップが、
 最高にかわいいんだよね、マー君は。



 『かわいい』って褒めると
 眼を吊り上げてワンワン吠えられるけど。