「僕……
 みゅうみゅうに……会いたい……」



「で?」



「みゅうみゅうの頭……
 ナデナデしたい……
 でも……」



「でも、なんだよ!」



「自分の気持ちを
 伝える勇気なんてないよ……。
 みゅうみゅうは彼氏さんのこと
 大好きみたいだし……」



 情けない僕の言葉を聞いて
 マー君はあきれ顔で立ち上がった。



 壁に貼ってある悪魔払いのお札を
 一枚とると、ペタリ。

 ベッドの上で三角座りをしている
 僕のおでこに、貼り付けてきた。



「な…… マー君! 何?」



「悪魔祓い!」



「へ?」



「春の中にいる、臆病悪魔を、
 追い払ってやってんの」



「こんなことしても……
 出てってくれないよ……
 僕の中の悪魔なんて……」



「じゃあ、
 追い払う必要なくねぇ?」



「え?」



「味方につけろ。
 春の中にいる悪魔を」



「マー君、
 意味が分かんないんだけど」



「悪魔が恋の助っ人なら。
 怖いもん、一個もねえだろ?」



 なに、それ。
 悪魔が恋の助っ人って。

 マー君らしくない例え。


 でもなんか、笑えてくる。