「約束して。
 もう彼女さんを、殴らないって」

 

 春輝くんの声に
 さらに語気を強める慶介くん。



「はぁ?
 なんでてめぇに、そんなこと……」


「僕と、約束できないの?」


「するわけねえだろ!」


「後悔しても、僕、知らないからね」


「何、言ってんだよ!
 マジでムカつく!
 お前らの口
 二度と喋れねえようにしてやるから!」



 地獄の鬼のように 
 血走った目で怒鳴り散らす慶介くんを
 春輝くんは
 余裕の笑みを浮かべて見つめている。



「ふ~ん。
 僕にそんなこと言って良いんだね。
 それなら
 トドメキの元姫、どうなっても知らないよ」


「俺らの……元姫って……」


 
 春輝くんの冷酷な声が
 今にも殴りかかってきそうな
 慶介くんの体を固めた。