とりあえず
 倉庫のドアをノックしよう。



 そう思ってドアに向かって
 歩き出した時

  
「嘘??
 美羽ちゃんじゃん!!」



 身長190センチ超え。

 黒い髪に金色メッシュの男の子の
 明らかに好意的な笑顔が
 私に向かって突進してきた。



 凛々しい眉が
 なぜか思いっきり垂れ下がっている。



 だ……誰ですか?



「あの……」


「静香の親友の
 美羽ちゃんでしょ?」


「はい……」


「会えるなんて、マジで嬉しい。
 静香から美羽ちゃんのこと
 いっつも聞いてるからさ」


「もしかして……
 しーちゃんの彼の……」


「慶介です」



 ベースの顔は
 どう見てもヤンキー。


 いや、ヤクザって言われたら
 ヤクザの下っ端。



 それなのに。

 お花畑にいるかのような
 フワフワした柔らかい笑顔の花が
 咲いている。



 一見、心の奥まで優しそう。



 本当にこの人、
 しーちゃんに暴力なんて
 振っているのかな?