「そうだ!
 僕がしーちゃんの彼と話そうか?
 暴力はやめてって」


 え? 

 そ……それは……


「ダメだよ。春輝くんアイドルだし。」


「そんなこと関係ないでしょ?」


「それに、しーちゃんの彼は
 暴走族の人で。
 トドメキっていうチームの幹部なの」


「トドメキ?」



 私の言葉に反応したように
 私の頭を撫でてくれていた
 春輝くんの手が止まった。



 そうだよね。

 暴走族なんて
 怖いに決まっているもんね。



 ずっと乗せていたいほど幸せだった
 膝の上から頭を起こし、
 私は春輝くんに笑いかけた。



「春輝くん、ありがとう。
 ナデナデしてくれたから
 勇気もらっちゃった」


「勇気?」


「私、今から行ってくるね」


「行ってくるって?
 みゅうみゅう、どこに?」


「しーちゃんの彼のところ」


「待って、待って。
 行ってどうするの?」


「お願いしてみる。
 しーちゃんのこと殴らないでって」