「俺さ、
笑顔を貼り付けてる春の顔を見るの
けっこう辛いんだけど」
俺の言葉に
何かを思い出したかのように
少しだけ笑みを浮かべた春輝。
「マー君は耐えてくれてるよ」
「は?」
「あやあやは、マー君から聞いてない?
二人だけの時は
マー君の前で笑わないから。僕」
『マー君』というのは、
アミュレットのメンバー
『マトイ』のこと。
春輝の部屋に居候中で。
相手の顔色なんて気にせず
思ったことはガツンと口にする
魔王みたいな奴。
俺もマトイから聞いていた。
嫌なことがあっても、辛いことがあっても。
笑顔を絶やさない春輝だけど。
マトイの前だけでは
辛いときにムリして笑わないどころか
普段から1ミリも笑わないらしい。
マトイから聞いた時には、
信じられなかったけど。
俺の目の前で、
苦しそうに瞳を揺らす春輝を見たら
もう、疑う余地すら残っていない。
遠い目をしていた春輝が
視線を落としながら、言葉を続けた。



