私の真横に座っているしーちゃんが
 苦しそうに唇を噛みはじめた。



 瞳には
 大粒の涙が溜まっている。



 しーちゃんの涙が決壊した瞬間
 怒りしか込められていないような瞳が
 私を睨みだした。
 


「美羽ちゃん……
 なんでそんなこと言うの?」


「え?」


「慶ちゃんと別れるなんて……
 できるわけないよ……」


「だから私が、一緒に行って……」


「なんで? 別れなきゃダメなの?
 私と慶ちゃんが付き合っていて。
 美羽ちゃんに迷惑かけてるの?」



 階段にこだまするほど
 大声を張り上げたしーちゃん。



「これは、私と慶ちゃんのことだから。
 放っておいてよ!!」



 大粒の涙をボロボロこぼしながら。

 私への苛立ちをを
 声に込めてぶつけてくる。



「美羽ちゃんなんて、大嫌い!!」



 その言葉を残し、
 しーちゃんは
 階段を駆け下りて行った。



 私の学校での友達が
 ゼロになった瞬間だった。