いきなり私の頭の中に現れた
 天使みたいなキラキラ笑顔。


 
 春輝くんの無敵な笑顔を
 思い出した瞬間

 しーちゃんに嫌われたくなくて
 ずっと心に押し込んでいた想いを
 私は口にした。


 
「しーちゃん……見せて」


「え?」


「マスクとって、見せて。
 しーちゃんのほっぺ」


「な……なんで?」


「慶介(けいすけ)くんに
 殴られたんでしょ?
 見せて!!」



 しーちゃんは
 驚いたように目を見開いている。


 
 慌てて私から視線を外した姿が
 痛々しくてたまらない。



「私……知ってたよ……
 慶介くん……
 しーちゃんのことを殴るんでしょ?」


「慶ちゃんは……悪くないの……」



 え? 



「悪いのは……全部私だもん……
 慶ちゃんは私のために
 殴ってくれるんだもん……」



 何…… それ……