私の足が止まり
 春輝くんから目が離せられない。



 その時
 無表情な春輝くんと視線が絡んだ。



 時間が強制的に止められたかのように。

 私の顔の筋肉は
 ガチガチに固まったまま動かない。



 春輝くん……

 今、どんな気持ちで 
 私を見ているの?



 聞きたいけれど。
 あまりに遠すぎて
 春輝くんを見つめることしかできない私。



「美羽ちゃん?」



 繋いでいた小さな手に引っ張られ
 慌ててリリちゃんの方に
 顔を向けた。


「観覧車、早く行こうよ」


「あ……うん」


 リリちゃんに微笑んでから
 もう一度だけ
 春輝くんの方を見上げたけど。



 私の大好きだった満開の笑顔は
 春輝くんを囲む女の子たちに
 向けられていた。