「ねえ、美羽ちゃん。
一緒に観覧車のろう!」
「観覧車?」
キョトンとする私に
波多野くんの呆れ声が続く。
「リリん家は、
ヒーローショーを見た後
観覧車に乗ってから帰るんだってさ」
「リリのお家では
そう決まってるの!」
観覧車かぁ。
最後に乗ったのは
小学生の時かなぁ。
「私も一緒で……いいの?」
「美羽ちゃんが一緒じゃなきゃ
リリ、嫌だもん」
でも……
波多野くんは嫌だよね?
逃げ場のない狭い密室で。
私なんかと
一緒にいなきゃいけないなんて。
波多野くんの心の中を確認するように
瞳を見つめてみた。
「み……美羽!!
な……なんだよ!!」
ほら。
分かりやすいくらい嫌がっている。
あからさまに視線を外されたから
間違いない。



