「私は……波多野くんって……」
「たっくんは
たっくんだもん!!」
あ……
リリちゃんが……
泣きそう……
ほっぺたを膨らまして
下唇を突き出し始めたリリちゃんに
「リリ、前園を困らせんな!」
波多野くんが強めの言葉を浴びせた。
「前園じゃないもん……
美羽ちゃんだもん……」
あ……
リリちゃんの涙が……
崩壊寸前……
泣いちゃう。泣いちゃう。
何とかしなきゃ!!
「じゃ……あ……
私も、たっくんて呼ぶね」
恥ずかしいけど。
リリちゃんを泣かせちゃうよりは
よっぽどいい。
「たっくんは?」
「わかったよ。呼ぶよ。
美羽ちゃん……って」
私と波多野くんの顔を交互に見て
リリちゃんはご満悦の
にんまり笑顔。
リリちゃんの機嫌が
直ってくれて良かった。
でも、背中のムズムズは
止まってくれない。
なんか、恥ずかしいから。



