『返事をくれて、ありがとうございます。普段は、バンド活動をしています。ヒマワリさんも音楽が好きな気がしているのですが、どうでしょうか?』
「へぇ……バンドしてるんだ」
いきなり、音楽という共通点があるなんて。
でも、きっと、どうせ、軽音楽系のことなのだろう。
私が好きなのはジャズで、軽音楽ではない。
それでも、どちらも同じ部類に違いない。
──楽器は何をしているんだろう?
ジャンルは違えど、興味が湧く。
彼はバンドと云うくらいだから、きっと軽音楽部か何かで、ギターみたいなオシャレな楽器でもしているんだろう。
知りたい。
今回のお返事に書く内容の1つにする。
そして、さらに彼の文章は、私の質問について語ってくれてあるようだ。
『まず、手紙を送る相手がヒマワリさんだった理由についてですが、それはアナタだけが対象だったからです。他でもない、アナタでなければならなかったからです』
私でなければならない、その理由を教えてほしいと言っているのに。
何も答になっていない。
『そして、何故、僕がヒマワリさんのことを知っているのか。それは、いずれ知ることになるでしょう』
ぎっしり書かれている割には、内容が無い。
有耶無耶にされた感じがする。
最後まで読み切ったら、私も返事を書く準備を始める。
1行目に挨拶を書いているときに、ふと思う。
──顔も知らない相手と、他愛も無い会話を続けるなんて、本当に意味があるのだろうか。
そんな見も蓋もないことを考えているにも関わらず、ボールペンが動くのは、今回の手紙にあった言葉のせい。
閉じていた便箋を、もう一度開く。
『他でもない、アナタでなければならなかったからです』
その文章に、何故かしら胸が熱くなった。



