雅人くんが、大きく深呼吸する。
彼の手も汗ばんでいた。
そんなに気合いを入れて、一体どんなことを言われるのだろう、と私もつい強張る。
しかし、待っていても、なかなか雅人くんは口を開く気配がない。
「ま、雅人くん……?」
私から呼び掛けると、雅人くんは一瞬ビクッとし、乗せていただけの手をぎゅっと握られた。
思わぬ不意打ちに、私も驚いて、変な声が漏れる。
恥ずかしくて、口元を隠すように手をやる。
そして、彼を再び見上げると、しばらく沈黙が流れた。
雅人くんの耳が赤い。
それに見惚れていた時、ようやく彼の口が動いた。
「澪ちゃんのこと、いつか迎えにくるから。その時は、俺とけ、けっ……」
突然、言葉を詰まらせる雅人くんを、静かに見守る。
ついに黙り込んでしまい、少し間を置いて言い直した。
「小学生の時は、芸もなく『結婚してください』だったけど……。良かったら、まず彼女になってくれませんか?」
私はというと、驚きっぱなしで言葉が出てこない。
「ずっと、好きだったんですけど」
「天才少年の雅人くんが、私を……?」
「うん。こうして話せて確信した。今も大好きです」
ド直球な台詞に、心臓が止まりそうになる。
その上、口から出てきそう。
恥ずかしさから黙っていると、握られた手を更に強く握られる。
「もしもし、澪ちゃん?」
「……あ、うん。えっと、わ、私で本当に良いの?」
「他でもない、澪ちゃんじゃなきゃダメなんです」
至って真剣な、その瞳に胸が疼く。



