初めこそ乗り気ではなかった手紙のやり取りも、今では10往復以上を越えていた。
ある日、いつも通り届いたイチさんからの手紙の内容に、私は手を震わせていた。
『来週の日曜日、午後12時30分から駅前のライブハウスで演奏します。都合が合えば、いかがですか?僕等の出番は13時30分頃です』
そして、そのライブのチケットが1枚、同封されている。
チケットに場所も載っている。
ここから、そう遠くはない。
『今のバンドに入って2年目の、まだまだ新人くんですが、僕もヒマワリさんに楽しんでもらえるように頑張ります』
「ありゃ、意外と経験浅い……?」
いやいや! 失礼だ、私! と首を横に振る。
でも、興味はある。
ロックじゃなくて「イチさん」に。
今日は月曜日。
お互いに県内なのだから、ポストに投函した翌日には、おそらく届く。
ライブの日までには、必ず届く。
慌てて返事を書いた。
そして、さらにイチさんからのその返事は、ほとんど思惑通りに4日後には着いた。
『ありがとうございます。来てくれるんですね。楽しみにしてます』
彼の字が、少し踊っている様に見えるから、もう手遅れだ。
彼のことが、気になっている。
その後は、私が疑問に思ったことを、然り気無く聞いたことだった。
『この前、そこまで詳しく言ってなかったかもしれませんね。吹奏楽は中学の3年間だけしていました。高校からはこっちに引っ越してきてて、また吹奏楽やろうか迷っていたときに、今の友人から誘われたんです』
これは、驚いた。
高校から、こっちに来て2年目ということは。
「嘘……高校2年……? 私と同い年だ」
しばらく茫然とする。
紳士な年上だと思い込んでいたら、まさかの同級生だったとは。



