「はい。
ずっと言えなくて、ごめんなさい……」

「こういうことは、もっと早く言え。
お前に何があった後じゃ、遅いんだからな」

 彬親は彩希の無防備な額に優しい口づけを送り、淡く微笑んだ。

 その言葉に頷いて甘えていると、隣で見ていた芳哉が、自分も混ぜてと飛び込んでくる。

 頬を擦り寄せて、また口づけをされて。
 ぎゅうぎゅうと、彬親の腕の上から抱きしめられて。

 彩希は、二人の旦那様の腕の中で、柔らかな笑みを浮かべていた。

 あぁ。
 本当に、幸せだ。
 幸せすぎて、夢なんじゃないかって、思うくらい。

 でも、沢山抱きしめてもらって、口づけされて。
 そうされるたび、現実なんだと思わせてくれる。

 (私も、大好きです。
 私の大切な二人の旦那様。
 ずっとずっと、一緒にいさせて下さいね……?)

 そう、甘い雰囲気真っ只中。
 もうちょっとだけ、甘えていようかな……。
 なんて思っていた矢先のことだった。

「……あ──、うん。
なんか、いい雰囲気のところ、ごめんね」

「────っ!?!?!?!?」

「特に邪魔するつもりはなかったのだけど……」

 突然御簾の向こうから声を掛けられて、彩希は思わず声にもならない声で叫んでいた。