「急に呼び出してごめん。そろそろ授業始まるし、戻ろっか」






「あ……はいっ」





 二人で並んで、さっき通った廊下を歩く。





 一年の私の教室に近づくにつれて増えていく人の目。う、視線が痛い。







「ねぇ、あれって……」





「湊先輩が女子と歩いてる!」







 こそこそと何か言われている声が聞こえて、思わず肩を縮こめた。たぶん、有名な先輩の隣に私なんかがいるから、何か言われているんだろう。







 どこからともなく聞こえる悲鳴に、湊先輩の人気を痛感する。先輩はこれだけ注目されて、気にならないのかな? 






ちらりと先輩のほうを見るけど、まったく気にしていない様子だった。注目されるのも噂されるのも日常茶飯事のことだから、なんとも思わないのかな?