「……誰にもあげないし」






 朝日の言葉にそう返事をして、俺は決意を固めた。絶対に、欲しい。こんなにも何かを欲しいと強く願ったのは、たぶん初めてだと思う。そして、きっとこの先、これ以上欲するものは現れないと断言できた。






 初めての恋。初めて好きになった人。きっと初めて会ったあの日から惹かれていたんだと、今なら素直に認められる。誰にも渡したくない。俺だけを見てほしい。





 そんな感情、初めてだった。小森はきっと俺になんて興味ないだろうし、今はまだ片想いだけど――どんな手を使っても、恋人にしてみせる。







「ねえ、紗奈ちゃん。女の人が苦手な、サッカー部の先輩って知ってる?」




「は? まさかそれ、瀬名先輩のこと?」




「瀬名、先輩?」