「ありがとう」
「い、いいえ! とんでもないです! それじゃあね莉子!! また明日!!」
「あ……う、うん! ごめんね! 紗奈ちゃん!」
ダブルブッキングのような形になってしまい謝って頭を下げると、紗奈ちゃんは「いいよ、いいよ!」と言いながら微笑み、逃げるように走っていった。
「ごめん、約束してた?」
申しわけなさそうに眉の端を下げる先輩に、慌てて首を振る。悪いのは私のほうだ。だって……本当に来てくれると、思わなかったから……。
「あの、私のほうこそすみません! 冗談だと思って……」
「冗談? 何が?」
「先輩が、その……放課後誘ってくれたのが……」
「どうして?」

