「いてて……。あー、足ケガしちゃったな、これ……」
「俺もさっき捻ったところ痛いんだよな……」
「あとで診てもらう?」
「……だな。念のためにちゃんと診てもらわないとな」
わざとらしく痛がっている、前を走る二年の部員の姿に、ミシッと血管が切れる音が聞こえた。何がケガだよ、ピンピンしてるだろ。その程度で痛がるなら、サッカーなんかやめろ。
「おい」
背後から近づいて、声をかけた。自分でも驚くほど低い声が出て、相手の部員二人もビクッとわかりやすく肩を震わす。
「……ひっ! な、なんだよ瀬名……」
振り返ったそいつを睨みながら、俺は口を開いた。
「ケガしてんなら来い。俺が診てやるから」

