懐妊一夜~赤ちゃんを宿したら極上御曹司の盲愛が止まりません~

「ああ。うちの会社は元々祖父がコーヒーやチョコレートなどの嗜好品を海外から輸入して販売をすることから始めた小さな会社だったが、今や日本はもとより世界各地で食料生産加工、販売事業を展開している。その中で海外をいろいろ飛び回ると、それぞれの国の過酷な現状が見えてきて胸が痛むときがあるんだ」

「過酷な現状?」

「世界には、まだ発展途上や貧困な国がたくさんあって、そこに住む人たちの生活環境はいいものとは言えない。その悪循環が子供たちの教育の場を奪っている現実をたくさん見てきてね」

「そうだったんですね……」

結斗さんの切なげな表情が私の瞳に映り、私まで切ない気持ちになる。

「微力だが、それを少しでも改善できないかと思っている。今、東アジアのいくつかの国で商談が進んでいるが、日本の地で培った高いノウハウを生かして現地で食料生産加工業に力を注ぎ、向こうのコミュニティーの発展に尽力したいんだ」

「それが結斗さんの目指す形なんですね」

「ああ。そうすれば雇用の拡大や生活環境の改善に繋がり、生活は豊かになる。子供たちが理不尽な労働を課されることもなくなり、日本では当たり前として行われている読み書きをしたりという学びや教育の機会が得られて、将来の道は幾重にも広がっていくと思うんだ。そして俺自身もいつかそういった国に学校を設立したい、それが俺の最終的な夢なんだ」

「いつかその夢が叶うといいですね」

「ああ」

結斗さんの口から語られた熱い夢。しっかりとしたビジョンを持っていて改めてすごいと感心した。そんな結斗さんの優しいまなざしが降ってきて、ニコリと微笑み返す。