懐妊一夜~赤ちゃんを宿したら極上御曹司の盲愛が止まりません~

結斗さんの爆弾発言に翻弄されながらも、ひと通り客室を見回り終えると、夕食までの時間、結斗さんと庭園を散策することにした。

「これがイロハモミジでこちらがケヤキだ。そしてこの真っ赤に染まっているのが、ナナカマドというバラ科の落葉高木だ」

「結斗さん植物に詳しいんですね」

「きっとそれは母の影響だと思う」

「そうなんですね」

山の上に位置していることもあり、澄み切った爽やかな空気と日常を忘れさせてくれる風流な世界に心が洗われていく気がした。

そしてリフレッシュできた頃、旅館に戻ると夕食の支度が整ったということで食事処である一階の個室へと案内された。向かい合う形で結斗さんと座り、まずは食前酒の梅酒で乾杯すると、先付けが運ばれてきた。

「うわぁ、美味しそう」

キャビアが乗った洋梨の生ハム巻きと今が旬の真鯖のコンフィ、そしてサーモンとアボガドのタルタルにみかんのジュレが添えられた色鮮やかな逸品だ。

「いただきます」とふたりで声を合わせて食べ始めた。一番気になったサーモンのタルタルを口に運んでみれば、その繊細で爽やかな味わいに思わず、頰が緩んでいく。