「話ってなんだったの?笹原くんも一緒だったんでしょ?」

打ち合わせ室から戻ると茜がさっそくそんなことを聞いてきた。

「笹原がリーダーを務める新プロジェクトになぜか私が選ばれたみたいで、チームに参加することになったんだよね」

「えー! そうなの? すごいじゃん。あの笹原くんと一緒に仕事できるなんて。そういえば蜜葉って笹原くんと同期なんだっけ?」

「うん。同期だけどあんな優秀なエリートと一緒に仕事なんてやっていけるか心配だよ」

「贅沢な悩みね。あんな仕事ができるイケメンと仕事を一緒にできるんだから幸せじゃない。彼氏がやきもち焼いたりして?」

茜が悪戯に笑う。確かに笹原は仕事ができるし容姿端麗だ。しかも気さくで気配りで同期の中でも確かにモテていた記憶がある。

だけど私はそんな笹原を男として意識したことがないし、向こうだってそんな意識はまったくないだろう。

そもそも笹原と仕事を一緒にするからといって大人でスマートな結斗さんがやきもちを焼くはずがない。

「何言ってんのよ、まったく。ほら、仕事に集中して」

「はーい」

仕事に戻るように茜を促して、私自身も溜まっていた仕事を片付けようとパソコンを開き作業を始めた。