懐妊一夜～赤ちゃんを宿したら極上御曹司の盲愛が止まりません～

「近くのコインパーキングに車を止めているから行こう」

「……あの、電車で帰りますから大丈夫です」

「遠慮せずに。と、言うより俺が芹澤さんと話がしたいんだ。だから少しだけ俺のワガママに付き合ってくれないか？」

「……え？ その、あの……分かりました」

押しに弱い私はそう答えてしまい、一緒に歩き出した。

「……連絡をくれるの待っていたんだが」

しばらく歩いていると、一番突っ込まれたくない話題に触れられ、表情がひきつる。

「……す、すみません。私のような平社員が副社長にご連絡を差し上げていいものか悩んでいたら、時が経ってしまいまして……社交辞令というか、そういうつもりで副社長が言って下さったのかと思ったんです」

「社交辞令？　俺はそのつもりはなかったんだけどな。純粋に芹澤さんのことをもっと知りたいと思ったから言ったまでだ」

「……そうなんですか？」

何で副社長はそんな思わせ振りなことを言うんだろう。私みたいな女に副社長みたいな人が興味を示すはずがないのに。