「結斗くん、はいこれ。後で感想よろしくね」
「有難うございます。近いうちに必ず」
マスターが副社長に向かって、私が持っている紙袋と同じ物を差し出したことで察知した。
マスターが新作の試食を副社長にも頼んでいたこと。そして、副社長が私と同じように店にそれを取りに来たことを。
周りのOLらしき女子グループのキラキラとした視線が副社長へと注がれている中、それとは対照的に気持ちが沈んでいく。己の欲求に勝てなかった自分の愚かさを呪いたい気分だ。
気まずくて仕方がない。やることは済んだしこの場を一刻も早く離れたい。
「で、では。私はこれで失礼し……」
「俺も今日はこのまま帰ります。夜道は危険だから送っていくよ。あ、マスターこれ少しばかりですが」
え……?
送っていく?
「結斗くんまでなんか気を遣わせて済まないね。本当にこういうのは次回からしなくていいから」
手土産をマスターに手渡す副社長の姿にさっきの自分の押し問答が重なる中、あれよあれよという間に副社長に促されてアネッロを一緒に出ることになった。
「有難うございます。近いうちに必ず」
マスターが副社長に向かって、私が持っている紙袋と同じ物を差し出したことで察知した。
マスターが新作の試食を副社長にも頼んでいたこと。そして、副社長が私と同じように店にそれを取りに来たことを。
周りのOLらしき女子グループのキラキラとした視線が副社長へと注がれている中、それとは対照的に気持ちが沈んでいく。己の欲求に勝てなかった自分の愚かさを呪いたい気分だ。
気まずくて仕方がない。やることは済んだしこの場を一刻も早く離れたい。
「で、では。私はこれで失礼し……」
「俺も今日はこのまま帰ります。夜道は危険だから送っていくよ。あ、マスターこれ少しばかりですが」
え……?
送っていく?
「結斗くんまでなんか気を遣わせて済まないね。本当にこういうのは次回からしなくていいから」
手土産をマスターに手渡す副社長の姿にさっきの自分の押し問答が重なる中、あれよあれよという間に副社長に促されてアネッロを一緒に出ることになった。

