「違う。すべては会社の利益のためだ。紗代のこともあれから気にかけたことなどない!」
声を荒げてお父さんが否定した。結斗さんに向けられる、その瞳は怒りに満ちているが、どこか悲しそうにも見える。
「ならば、なぜ書斎の本棚にある愛用本に母さんの写真を挟み隠し持っているんですか?」
「なぜそれを?」
「小さいときに友達と宝探しをしていたときに偶然見つけたんです。いまだに父さんは大切そうにその写真を持っているのを知っています」
「……」
「父さんがずっと母さんを気にかけていたことを春日井から聞いていました。そして母さんも父さんのことをずっと忘れたことはないんです」
「紗代が? それは私のことを恨んでいるからだろう?」
「いえ違います。愛しているから、です」
「そんなことがあるわけ……ないだろ」
お父さんが大きく目を見開く。動揺からか声が震えている気がする。
「今まで隠してきましたが、春日井の計らいで俺は母さんが彩瀬家を去ったあとも、母さんと会っていました。母さんの家に行ったこともある。そこには親子三人で撮った写真が、ずっと飾られているんです。そして母さんも、あなたと同じように、父さんを支えてあげられずに、途中で逃げてしまったことをいまだに後悔しています」
声を荒げてお父さんが否定した。結斗さんに向けられる、その瞳は怒りに満ちているが、どこか悲しそうにも見える。
「ならば、なぜ書斎の本棚にある愛用本に母さんの写真を挟み隠し持っているんですか?」
「なぜそれを?」
「小さいときに友達と宝探しをしていたときに偶然見つけたんです。いまだに父さんは大切そうにその写真を持っているのを知っています」
「……」
「父さんがずっと母さんを気にかけていたことを春日井から聞いていました。そして母さんも父さんのことをずっと忘れたことはないんです」
「紗代が? それは私のことを恨んでいるからだろう?」
「いえ違います。愛しているから、です」
「そんなことがあるわけ……ないだろ」
お父さんが大きく目を見開く。動揺からか声が震えている気がする。
「今まで隠してきましたが、春日井の計らいで俺は母さんが彩瀬家を去ったあとも、母さんと会っていました。母さんの家に行ったこともある。そこには親子三人で撮った写真が、ずっと飾られているんです。そして母さんも、あなたと同じように、父さんを支えてあげられずに、途中で逃げてしまったことをいまだに後悔しています」

