その日も結斗さんと電話で盛り上がり、温かい気持ちのまま、眠りについた。
それから五日が過ぎて、結斗さんの帰国の日が迫っていた。
その日の仕事終わり、笹原と食事に行くという茜と会社のエントランス前で別れて、最寄り駅へと歩き出そうとしたそのとき。
「すみません。少しよろしいでしょうか?」
会社横に停めてあった黒塗りの高級車の運転席から降りてきた、長身で黒服を着た六十代くらいの男性がそう声を掛けてきて、足が止まった。
「芹澤蜜葉さんですね?」
「え? あ、はい。そうですけど」
「突然、声を掛け驚かせてしまい、申しわけありません。私、彩瀬家で執事をしております、春日井と申します」
「あっ」
旅行の日に結斗さんが話してくれたその名前を思い出した。
「結斗様から私のことを聞いておられるようですね」
私の表情を見て春日井さんはそう悟ったらしい。
「あ、はい。信頼のおける方だと言っていました」
「そうでしたか……」
そうつぶやいて、春日井さんはどこか切なげな笑みを浮かべた。
それから五日が過ぎて、結斗さんの帰国の日が迫っていた。
その日の仕事終わり、笹原と食事に行くという茜と会社のエントランス前で別れて、最寄り駅へと歩き出そうとしたそのとき。
「すみません。少しよろしいでしょうか?」
会社横に停めてあった黒塗りの高級車の運転席から降りてきた、長身で黒服を着た六十代くらいの男性がそう声を掛けてきて、足が止まった。
「芹澤蜜葉さんですね?」
「え? あ、はい。そうですけど」
「突然、声を掛け驚かせてしまい、申しわけありません。私、彩瀬家で執事をしております、春日井と申します」
「あっ」
旅行の日に結斗さんが話してくれたその名前を思い出した。
「結斗様から私のことを聞いておられるようですね」
私の表情を見て春日井さんはそう悟ったらしい。
「あ、はい。信頼のおける方だと言っていました」
「そうでしたか……」
そうつぶやいて、春日井さんはどこか切なげな笑みを浮かべた。

