私が親に孫の顔を見せることができるのは、果たしていつになるんだろう。

そもそも、その前に結婚という最大のハードルがあるわけで。なんて考えてどうにかなるものでもない。

ひとまず、今日はマスターの料理を食べて元気をもらって明日からまた仕事を頑張ろう。

「マスター注文お願いします。オムナポリに生姜焼きとポテサラトッピングで。それと食後にヨーグルトパフェで」

「蜜葉ちゃんの鉄板オーダーだよね、それ。かしこまりました。少々お待ち下さいませ」

「宜しくお願いします」



いつもの鉄板オーダーをして、待つこと数十分。

「はい、お待たせ」

「ありがとうございます」

私の目の前に置かれた熱々の鉄板の中で踊るのはこの店の看板メニューであるトロトロの半熟オムレツで包んだナポリタン。通称、オムナポリ。

食欲をそそる匂いが立ち込めて、思わず頰が緩んでしまう。