私は何とかして、着替えだけは済ませた。髪の毛が整っていないが、真島くんは、私の家へと入ってきてしまった。

「おじゃまします。」
「はーい。好きな所に座ってちょうだい。」
「すみません。ご迷惑でしたら、家の外で待っていますよ。」
「いいのよ〜。遠慮しないで。」

母は何故か上機嫌だ。真島くんも、いつもはぶっきらぼうだが、さすがにこのような時は礼儀正しく振る舞うらしい。普通に常識はある人だということだ。

「ご、ごめんなさい。まだ髪の毛もとかしていなくて…。」

寝起き姿を見られるのはとても恥ずかしい。穴があったら入りたい気分だ。

「ゆっくりやれよ。」

真島くんが、クールにそう言った。
母の前だから、猫を被って優しくしているのかもしれない。
私は、髪の毛をとかし終わると、朝ご飯を食べ始めた。お母さんは、真島くんをよりによっても私の正面の席に誘導し、彼は私の目の前に座った。
食べているところを見られるのは恥ずかしい。何だか、さっきから恥ずかしいことだらけだ。

「はい。あ、それより、どうしてこの家の場所が分かったのですか?」

「君の妹に聞いたよ。」
「陽芽に?」
「ああ。彼女に、もう少し早目から勉強したいと言ったんだ。そうしたら、君の従兄は君を溺愛しているから、早目に行っても大丈夫だろうと、彼女から言われた。そして、ここの場所も教えてくれた。」

なるほど。全て陽芽の仕業だったということか。

「おはよ〜。」

その時、寝室から陽芽が起きてきた。