「何言ってんのよ!犯人が私であるという証拠は?」
「それは…。」
「何処にも無いでしょ!」
「無い…けど…、でも…!」

でも、彼女は私をよく思っていない。
元々私は人から好かれるタイプではないけれど、他のクラスメイトから特別嫌われていると感じたことはあまりない。だから、犯人は彼女である可能性が高い。

「そもそも、私は今年からこの学校に転校してきたんだよ。文化祭は去年の話でしょ。私にあの写真が撮れるわけないじゃない。馬鹿じゃないの!?」

そうだ。それが、ずっと引っかかっている。彼女はあの時の写真を撮ることができないはずだ。
そして、それが分からないから、彼女が犯人であるかどうかの断定ができない。

「あんた、発言には気をつけた方がいいよ。」

影石愛が低い声で言った。

「今、クラスの共通の認識では、あんたが“ゲスい浮気野郎”で、私が“可哀想な愛ちゃん”なんだから。私が、あんたに犯人扱いされたと言ったら、どちらを信じると思う?」

私は口を噤(つぐ)む

「分かったなら、二度と私を犯人だとは言わないことね!」