私だって、真島くんのことを、ほとんど何も知らない。私も彼のことが知りたい。

「良いですよ。」
「じゃあ、これからは、そういうことで…。」
「はい。」

私がそう言うと、真島くんは、再び背筋を伸ばし、いつもの目線へと戻った。そして、眉間に皺を寄せた。

「それにしても、あの写真、誰が撮って、誰がばら撒いたんだろうな。」
「私もそれが、見当もつきません。」
「今回のことで終わりだということも考えにくい。もしかしたら、犯人は次にまだ仕掛けてくるかもしれない。」

つまりは、この件が収まったとしても、犯人が見つからない限り、油断はできないということだ。

「俺も、色々調べてみる。」
「そんなの、いいですよ。」
「いや。俺が調べたいんだ。」
「でも、真島くんまで巻き込むことに…。」
「今更そんなことは言っていられない。もうとっくに、巻き込まれている。」

確かに、そうだ。私が巻き込んでしまった…。

「そんな顔するなよ。冗談だから。」

冗談なら良かったが、巻き込んでしまっていることは事実であるから、反省はしなくてはならない。

「まあ、ここ数日は様子見だ。」
「分かりました。」
「じゃあ、俺は部活へ行く。」

真島くんが、回れ右をして、私に背中を向けた。
普段なら、そのまま振り返らずに去ってしまうが、今日は違った。
階段を2, 3段降りたところで、こちらを振り返った。