雲1つ無く、綺麗な青空が頭上一面に広がっているある日の朝。
いつものように、電車と徒歩で学校へ登校すると、靴箱付近で、前方に真島くんが歩いているのを見つけた。

「あの…、おはようございます。」

声をかけないまま後ろを歩き続けるのは気まづいだろうと判断し、少し小走りで真島くんに追いつくと、私は声をかけた。

「…おはよ。」
「昨日は、ありがとうございました。」

私はその場で頭を下げた。
真島くんが誘ってくれた映画は、ずっと前から好きだった小説だったから、ずっと観たいと思っていた。
それを観ることができたことも、嬉しかったが、それと同じくらい、真島くんが私を誘ってくれたことが、嬉しかった。
誘ってくれるということは、少なくとも、私に負の感情を抱いていることは無いということだ。
真島くんは感情表出が分かりづらいから、たまに私の存在を迷惑だと思っているのではないかと不安になる。でも、今のところ、その心配をする必要は無さそうだということが分かった。
それに…。
彼を見つめると、今日も、全身に真っ黒なオーラが漂っている。
初めに真っ黒になってから、私の前で、色が変わることは1度も無かった。
もしかしたら、体調が優れないのかと思っていたが、昨日の様子を見ている限りそのようなことも無さそうだ。