「っ……!?」

その写真を見た瞬間、俺は頭が真っ白になり、地獄の底まで突き落とされたかのような気分に陥った。
その写真には、2人の人物が写っている。
白雪姫の衣装を着た、俺のパートナーと佐倉だ。
ただ、写っているだけなら、それで良かった。でも──

「何だよ、これ…。」

写真の中で、2人はキスを交わしていた。
思わず、肩にかけていたスクールバッグをそのまま落としてしまった。
それほど荷物は入っていないはずなのに、それは、ドスンッと鈍い音を立てる。

「あの日…?」

あの文化祭の日、彼女は火事に巻き込まれた佐倉を心配して、舞台が始まる直前に、慌てて佐倉の元へと向かった。
思い返すと、確かに戻ってきた彼女の様子は少しおかしかった。緊張しているのだと言っていたから、軽く考えていたが、まさか、こんなことを…。

『両方選んだのです。』

彼女の言葉を思い出す。
あの時、俺はその言葉を聞くまで、彼女は佐倉のことを選んだのだと思い込んでいた。本番前だったけれど、かなり落ち込んだ。悔しくて、本番中、当てつけのように、彼女にキスをした。演技であると嘘をついて。
今思えば、最低な奴だ。いくら相性が良くたって、こんな奴のことを、好きになるはずないのにな。
やっぱり、彼女は最初から佐倉を選んでいたんだ。
あの言葉は、俺を気遣って…。
それなのに俺は、まだチャンスがあると期待して…、デートにまで誘って、本当に馬鹿だ。
1人で一喜一憂しているピエロみたいだ。