「もう下校時刻過ぎてま……キャーーー!!!」

扉を開けた人は、見知らぬ女子で、俺達を見ると、悲鳴を上げた。
俺と水原は、お互いに離れ、距離を取った。

「真島くんと水原くん…!?何してるんですか!!はっ!まさかここでイケナイことを…!?そんな…破廉恥!!」
「待て!これは、誤解──」
「私は、“サクマシ”を推してたのに…!酷い…!」

誤解を解きたかったが、彼女はそれだけ言うと、走り去って行った。
何だか、去年にもこんなことがあったような、無かったような…。
それにしても、“サクマシ”とは何だ?

「水原のせいで、誤解されたじゃないか。」
「別に、誤解されて良かったんじゃない?」

水原は、慌てる様子さえ全く見せず、余裕の表情で言った。

「やっぱり壁ドンは、“そういう関係”に見えるってことでしょ?」
「まあ、それはそうだが…。」

それはそうかもしれないが、そういう問題では無い。水原は、他人に変な噂を流されることを、全く気にしないのだろうか。