「ところで真島くん。女の子は、どんな時にドキドキすると思う?」

ドキドキ…?そんなの、考えたことも無い。

「嘘がバレた時か?」
「そっちのドキドキじゃなくて!恋のドキドキ!」
「分からない。」

即答すると、水原は軽く溜息をついた。

「まあ、色々あるんだけどね。女の子を誘う時に使えるのは…、」

水原が教壇を降り、真顔で俺の至近距離までやって来て、顔を近づけた。
その距離は、10cmもないだろう。

「見つめること。」
「み、見つめること…?」
「そう。」

そう言うと、水原は俺から顔を離し、再び教壇へと上がった。

「これ、重要だからね。絶対やってよ!」
「分かった。」
「じゃあ次は誘う文言(もんごん)についてなんだけど…、真島くん、ストレートに『デート行こう?』って言える?」
「無理に決まっているだろ。」
「どうして?」

どうしてって…、出会った時に、干渉しないと言ってしまったのに、堂々と誘うなんてこと、できるわけがない。