「湖川さんに、謝ったの?」
「うん。信じてもらえないかもしれないけど、これは嘘じゃない。ここで藍ちゃんに確認しても良いよ。」
「じゃあ、この前の揉めていたのは何?」

あの時は、湖川さんも影石さんも取り乱していて、どこからどう見ても、2人の問題が解消したようには見えなかった。

「それは…。きっとまだ、藍ちゃんは私のことを許せないんだと思う。それで、『蛍貴に近づくな』なんて言ったんじゃないかな。」
「僕のことを遊びだと言ったのは本当?」
「それは…、本当だよ。でも、記憶が曖昧で…。もしかしたら、『遊び』とは言ってなかったかもしれない。でも、本命は真島くんだって言ってたよ。それは確実。」
「そう…。」

本命は、真島くん。
そんなの、初めから分かりきった。2人は特に相性の良いパートナーで、傍から見ていても、似ているところが沢山あると思うから。

「色々、嘘ついててごめんね…。過去のことを蛍貴に知られて、愛想をつかされるのが怖かったの。やっぱり私、どこまでも最低だ…。」
「そんなことないよ。」

少しでも、罪を償おうと思っている気持ちがあるのなら、それは最低じゃない。
大切なのは、過去ではなくて今だ。