「僕は陽芽さんの連絡先を知っている。今ここで、陽芽さんに電話をして、確認することだってできるんだ。」

ある意味おどしだ。できればこんな強引なやり方は、したくない。でも、このくらいしなくては、影石さんは真実を話してくれないかもしれない。

「もう一度聞くよ。君は岸部愛だね?」

僕が言うと、彼女は両手で顔を覆った。

「ごめんなさい…。」

そして、深く頭を下げる。

「私は過去に、藍ちゃんに対してとても酷いことをしたの。でも、どうしてもそれを蛍貴に知られたくなくて…。」

(うつむ)いて、僕と視線を合わせないまま、彼女は語り出した。

「最低の人間だよ…。でもね、藍ちゃんにはちゃんと謝ったの。まあ、謝って許されることじゃないと思うけど…。これから少しずつ、罪を償っていこうと思うの。」

そう言うと、彼女は頭を上げた。