「先日、僕達のクラスに、『影石愛』という女の子が転校してきました。彼女は湖川さんと幼馴染みだと言っていたのですが、最近少しトラブルがあったみたいで…。もし、その『影石愛』が、昔、湖川さんを傷つけた『岸部愛』なのだとしたら、少し警戒しなければならないと思うのです。」

情報量が少し多かったかもしれないが、それでも裕さんには知らせておいた方が良いと判断した。

「それはまずいな…。トラブルって、どんな?」
「それは、僕の口から言って良いのか…。」
「そうか。まあ、藍からもそれとなく聞いてみる。何か新しい情報があったら伝えるよ。」
「僕もそうします。」

裕さんと情報をやり取りできるなら、心強い。

「それから蛍くん、1つだけお願いがあるんだ。」
「なんですか?」
「もし藍に何かがあって、クラスで問題が起こったとしても、蛍くんだけは、藍の味方でいてくれ。例え、蛍くんに辛いことがあったとしても。それだけできっと、藍は救われるから。」
「分かりました。」

大丈夫だ。僕は湖川さんを信じている。
信じているから、『遊び』だと言われても、それが真実ではないと信じることができた。

「裕さん、ありがとうございます。」
「ううん。蛍くんとはライバルだけど、今回に関しては手を組もう。」
「はい。」

そう言うと、裕さんは電話を切った。