AIが決めた恋

「じゃあ、藍ちゃん、行こうか。」
「えっ?何処に?」
「何処が良いかな〜。あんまり人には聞かれたくない悩みだから、体育館裏とか?」
「分かった。」

そう言い、私達は歩き出した。

「ねえ、藍ちゃんのパートナーは、真島広大っていう人なんだよね?」
「そうだよ。」
「彼のこと、何処まで知ってるの?」

何処までとは、どういう意味だろう。
考えてみると、私は彼のことを、ほとんど何も知らないのかもしれない。

「あ、全然深い意味はないよ。ただ、蛍貴と仲良くなる為の参考にしようと思ってさ。」
「それなら、私に聞かない方が良いと思う。」
「え?何で?」
「私達は、多分、普通のパートナーとは違うから。」

ごく一般的なパートナーは、お互いのことを話す機会が多々あるのだろうけど、私達はほとんど話さない。
そもそも最初に出会った時に、お互い、必要以上に干渉はしないと約束してしまった。
事実、私は彼と過ごしてしばらくするまで、彼に婚約者がいることも知らなかったし、中学時代に問題を起こして出席停止になっていたことも知らなかった。

「そう。じゃあ、彼のことを聞き出すことは、あまりしないんだ?」
「うん。」
「彼の生い立ちが気になったりしないの?」

それは、気になることもあるけれど…。

「過去よりも、重要なのは今だと思うから。」
「へえ。」

そこで影石愛は足を止めた。