「私、応援するね。」
「ありがとう!!私も藍ちゃんの恋、応援するからね!」
「私の恋?」
「そろそろはっきりしてもいいんじゃな〜い?」

ももちゃんがニヤニヤと私を見つめた。
しかし、何のことかさっぱり分からない。

「佐倉くんなの?真島くんなの?それとも…、裕くん!?」

最近はやたらとその質問をされる。

「藍ちゃんにとって、誰が特別なの?」

私にとっての特別…。

「全員、特別かな。」
「えーー。」

そう言われても、私の中では、どの人も特別だ。佐倉くんも、真島くんも、お兄ちゃんも、私と関わってくれる。
男の人は、苦手だけれど、この3人なら平気になった。その時点で、3人は特別な存在だ。

「じゃあ、まだ誰かに恋愛感情を抱いているわけではないんだ。」
「うん。でも…。」

文化祭の時に、佐倉くんと真島くんにキスをされ、戸惑っているところはある。

「でも?」
「今はいいや。放課後に話すね。」
「うん!!楽しみにしてる!!」

ももちゃんが笑顔でそう言った。

「じゃあ、そろそろ私達も教室に戻ろうか。」
「そうだね。」

そう言って、ももちゃんと歩き出す。
全てが上手くいっているはずなのに、少し心が落ち着かないのは、全てが上手く行き過ぎているからなのかもしれない。
そう思ったが、私はそれをあまり考えないようにすることにした。