「それにしても、あの噂は、誰が流したんでしょうね。」
「さあ。突然流れて、俺も驚いた。」

真島くんにも心当たりが無いのなら、あの噂が自然に流れたと考えるのは、不自然だ。
誰かが、真島くんを陥れる為、意図的に流したのではないかと考えるのは、さすがに人を疑いすぎだろうか。

「なあ、本当にどうして君は、あの時、俺のことを信じてくれたんだ…?」
「何度も言いますが、真島くんは、そんな人に見えなかったからですよ。」
「あの噂は、本当だとしても…?」
「はい。」

私が頷いた瞬間、真島くんは、私の左手を、右手で掴んだ。

「俺、君のことを、パートナーとして大切にするから。」
「ど、どうして急にそんなことを…?」
「君に嫌われるのが怖いんだ。」

直感だけれど、なんだか真島くんが、いつもとは全くの別人に見えた。
普段は自分に自信がありそうな彼が、今はとても弱気で、オーラの色も、真っ黒だ。

『黒いオーラに気をつけて。黒は突然やってくる。』

それは一体、何を意味しているのだろう。
私にはまだそれが分からない。
でも、私の知らないところで、明らかに何かが良からぬ方向に変化していっているような、そんな、嫌な予感が頭を離れない。