放課後、僕が職員室へ行くと、既に先生と桃野さんと影石さんが、集まっていた。

「お待たせしてしまい、すみません。」

僕がそう言うと、先生は首を横に振った。

「気にしなくて良い。それより、湖川は…?」

先生が僕の方を見た。

「僕は知りません。桃野さん、何か知ってる?」

この高校で彼女と1番仲が良いのは桃野さんだ。
僕は桃野さんに尋ねた。

「先程まで教室にいたのですが…。私が御手洗へ行くから先に職員室へ行っていてと言ったので、てっきりもう来ているのかと思っていました。」
「そうか。…仕方がない。彼女はきっと、ここへは来ないだろうから。先に話を進めてしまおう。」

もしかしたら、途中で足止めを食らっているだけかもしれないのに、どうして、そんなことが分かるのか、不思議だ。

「待ってください。湖川さんは、理由無く約束を破ったりするような人ではありません。もう少し待ってみるのはどうでしょうか。」
「その必要は無い。」
「どうしてですか…?」
「どうしても。彼女はきっと、ここへは来ない。」

分からない。何故、今日担任になったばかりの先生に、そんなことが分かるのだろう。

「とにかく、話を先に進めます。」
「分かりました…。」

納得はいっていなかったが、取り敢えず僕は指示に従うことにした。