「でもさぁ〜、それほど相手に嫌われるってことは、お前とそのパートナー、相性最下位だったんじゃね?」

本田くんが、鼻で笑いながら聞いた。
彼は、こういうところが本当に失礼だと思う。
水原くんが気にしてしまわないか心配だったが、彼は首を横に振った。

「パートナーだった子が退学した後、俺、どうしても順位が気になって、校長先生に聞きに行ったんだ。」

まさか自分から校長先生に順位を聞きに行くとは。物凄い行動力だ。見た目はとても優しそうだが、案外、気になったことに対しては容赦なく突き詰めるタイプなのかもしれない。

「本来は、1位以外の順位は絶対に教えられないんだけど、俺の場合は、相手が退学しているから、教えてもらえたよ。」
「へぇ〜。じゃあ、150位じゃないっつーなら何位だったんだよ?」
「3位。」

水原くんは、何の躊躇(ためら)いも無く、言った。

「3位!?高けぇじやん!なんで嫌われたんだよ!?」
「それは俺も分からないよ。でも、1つだけ確かなことがあるとしたら、相性が上位でも、上手くいかない場合があるということだ。」

相性が上位でも、上手くいかない…。だとしたら、AIが結婚相手を決めるだなんて、やはり不可能なことなのだろうか。
よく分からないが、相性3位のペアがたった半年で崩壊したというのは、研究結果を大きく左右させることになるのではないかと思う。

「なんかお前、可哀想だなー。」

本田くんがそう言っているが、全く相手を可哀想だと思っていなさそうな表情だ。もうこの会話に飽きてしまったのかもしれない。

「皆がそう言うよ。でも、いいんだ。今日俺は、新しい友達ができたから。」

水原くんの笑顔は、少し寂しそうであったが、それと同時に、嬉しそうでもあった。