「パートナーがいないって、どいうこと！？」

すかさず陽芽さんが突っ込む。
僕もその理由が聞きたい。この高校は、入学すると同時に、自分と一番相性の良いパートナーが発表される。
相性ランキングが全体で150位までに入っているのが、入学する為の絶対条件だ。
それなのに、パートナーがいないだなんて。そんな例外は、今まで考えたことすら無かった。

「パートナーだった女の子が、俺の事、嫌いだったみたいで、退学しちゃったんだ。」

た、退学…。相性が良いはずなのに、それほど相手のことを嫌ってしまうこともあるのか…。しかも、たった半年で。
僕と桃野さんは、お互いがお互いに興味が無いが、それは良い方なのかもしれない。

「そこからパートナーはいなくなって、クラスメイトも俺を腫れ物扱いするような感じでさ。」
「そうだったんだ…。水原くん、可哀想。私は、腫れ物扱いなんてしないよ。水原くんの遍歴よりも、本質をみたいな。」

桃野さんが水原くんに言った。

「ありがとう。嬉しい。」

水原くんが微笑む。
その笑顔は、あまりにも甘く優しくて、男の僕でもドキッとしてしまう。
桃野さんが好きになってしまうのも納得だ。
それにしても、桃野さん、水原くんにパートナーがいないと知った瞬間、小さくガッツポーズをしたような…。
でも、どちらにせよ、彼にパートナーがいないことは、僕にとっても少しからず好都合だ。
パートナー以外の人との恋愛は自由だが、お互いのパートナーが納得しなければならないという条件がある。この場合、僕は既に納得しているから、2人は心置き無く恋愛できるということだ。まあ、水原くんが桃野さんを好きになるかはまだ分からないが…。