佐倉蛍貴。
彼のオーラは、無色透明だ。
初めてそのオーラを見た時、私は一瞬で目を奪われた。
ひいおばあさんが夢の中で言っていたそのオーラが、まさか本当に実在しているなんて、思ってもみなかったから、本当に驚いた。そしてそれと同時に、彼に興味を持った。
彼と初めて話した時、私は本当に嬉しかった。しかも、彼の方から話しかけてきてくれるなんて。だから私は罰ゲームだと知っていながら、彼と会ったし、ゲーム中も、彼が負けますようにと、密かに祈っていた。
それなのに私は、初めて話した時、彼に対して冷たい態度を取ってしまった。
いくら気になる人であるとはいえ、やっぱり男の人は怖くて、信じることができなかった。
それでも佐倉くんは私を見捨てず、ずっと私と関わってくれていた。そして、私を助けてくれた。
初めて抱きしめられた時、『離して』と言いながら、本当は彼の腕の中で、少し安心していたんだ。もしかしたら私はあの時、人を信じる気持ちを、思い出したのかもしれない。
そんな彼が、火事に巻き込まれた…。
彼の無事を確かめたい。例え会話ができなくても、一目見るだけでいい。でも、私には舞台がある。
佐倉くんも大切な仲間だけれど、真島くんも大切な仲間だ。相性1位のペアとして、この舞台は絶対に成功させなければならない。
佐倉くんか、真島くん。
私はどちらを選べば良いのだろう。
ちらりと近くにある時計を見ると、2時30分を指していた。
本番まで、あと30分。よく考えるんだ、湖川藍。私が今、選ぶべきなのは──

「真島くん。」

私は、勢いよく椅子から立ち上がった。