「佐倉くんが…火事に…巻き込まれた…?ももちゃん…、どういうこと…?」

駄目だ。事実を上手く受け入れることができない。

「私も状況がよく分からなくて、さっき佐倉くんと会ってきたんだけど、命に別状は無いみたい。」

命に別状は無い。それなら、良かった。佐倉くんがいなくなってしまったら、私は──

「でもね、佐倉くん、様子がおかしかったの。」
「えっ…?」
「なんだか全体的に、ぼやっとしてて、私の顔を見て、『湖川さん』って言ったんだよ。」

佐倉くんが、ももちゃんの顔を見て、私の名前を…?どうして…?

「だから、今すぐにでも藍ちゃんに会いたいんじゃないかな?」
「私に…?」

そんなことがあるのだろうか。私は、佐倉くんの何でもないのに。

「そう思って、急いでここに来たの。今、彼はまだ校舎裏にいる。だから藍ちゃん、彼の所へ行ってあげて…!」

でも、彼が私を呼んでくれているならば…、

「それなら、私、今から佐倉くんのところに──」
「駄目に決まってるだろ!」

真島くんが叫んだ。