「あ！藍ちゃん、メイクしてる！可愛い！！」
「ありがとう。」
「ふぉ〜。似合うなぁ。可愛いなぁ。やっぱり藍ちゃんは最高だなぁ。」

ももちゃんが呟く。
そんなに褒めてもらうと、照れてしまう。何だか少し恥ずかしくて、私は話題を変えることにした。

「そういえば、ももちゃん、どうしてここに来たの？何か話があるとか？」

私が聞くと、ももちゃんは、大きく両手を叩いた。

「そうだった！忘れてた！あのね、話があるのは私じゃなくて、彼。」
「彼？」
「本当は陽芽ちゃんが連れてくるはずだったんだけど、ミスコンの活動でいないから、私が代わりに連れてきたの。ほら、そんなことろに隠れていないで、出てきなよ！」

ももちゃんが左の方向に向かってそう言うと、近くの物陰から、1人の男子生徒が顔を出した。

「ほ、本田くん…？」

驚いた。本田くんが私に何の用があるのだろう。正直、この前のことがあったから、彼とはあまり話がしたくない。

「じゃあ、私は教室でやることがあるから！」

そういうと、ももちゃんは教室に戻って言ってしまった。
その場にしんとした空気が流れる。