「実は、今日から1ヶ月、AI研究所で実習を行うんだ〜。」
「実習ですか?」
「そう!僕、将来はこの研究所に就職しようと思ってるから。」
「そうなんですね。」
「白衣までもう用意してるんだ!」

そう言って裕さんは持っているトートバッグの中から白衣を取り出し、その場で着た。

「どう?似合う?」
「とても似合ってますよ。」
「やったー!あ、藍にはここで実習することはまだ内緒なんだ。ビックリさせる予定だから。」
「そうなんですね。」
「ねえ、最近藍は学校でどう?」

どう、と言われても。僕は裕さんのように、目の届くところにいる限り、湖川さんを監視しているわけではないから、詳しいことはあまりよく知らない。
ただ、1つ言えることとしたら…。

「舞台の練習が大変そうですよ。」
「舞台?」
「はい。真島くんと一緒に。」
「広くんと一緒に…?ま、まさか…!」

裕さんが、慌てたような表情で僕の肩を掴んで前後に揺すった。